LASIK術前術後に眼位検査とサイプレジンでの潜伏遠視の検査をしてほしい

元一部上場企業のOLがレーシック後遺症で失職、視覚障がい者になるブログです

強度近視とコントラストの低下

今日はコントラスト感度の低下について書きますね。
コントラストの低下は私がレーシックでおった合併症の一部分です。その一部分でもかなりの不利益を被っています。

レーシックは角膜を削る手術です。
角膜を削ると、コントラスト感度というものが低下します。
特に強度近視の場合削る量が多いので、コントラスト感度の感度の低下も激しくなります。
コントラスト感度って何?って普通の人は思いますよね。レンコンも術前はそう思っていました。

コントラスト感度は、はっきりとした輪郭を持たず、濃淡のはっきりしない模様を識別できる能力を評価したものである。通常、視力検査は100%に近いコントラスト指標で行われ ており、日常生活における見え方の質quality of vision(QOV)を 評価するには不十分である。

http://ci.nii.ac.jp/naid/110008767957

コントラスト感度が強いと見え方がくっきりはっきりした感じになり、低いと見えているんだけどなんとなくものの境目が滲んだようなぼやけたような感じになります。

レーシックの被害者の会から画像を引用しますね。

f:id:rennconn:20160614142545j:plain
レーシック被害者の会 見え方の質の低下
http://lasikmutualjapan.jimdo.com/%E8%A6%8B%E3%81%88%E6%96%B9%E3%81%AE%E8%B3%AA-%E3%81%AE%E4%BD%8E%E4%B8%8B/

コントラスト感度の低下には個人差があります。私はこの画像よりははるかにマシだと思います。逆にこの画像よりももっと悪くなってしまった方もいます。

自分の場合、検査で両目とも標準よりコントラスト感度が低いのはわかってるのですが、自覚的にはより多く削られた右目のほうがコントラスト下がってるのを感じます。
なんというか、右目だけで見た場合、左目と比べて見た時の輪郭が滲んだ感じになるんですよ。はっきり見えてないんです。

最初は右目が激しく遠視にされてるので、ピントが有っていないのかなと思ってた。だけど老眼鏡かけても治らないし、コンタクトでもやっぱり滲んだ感じなんですよ。

これで何が問題なのかというと、例えば車運転した時に逆光とかで一部だけが激しく明るい状態になりますよね。そうすると、明るくない部分がはっきりと見えないんですよ。

例えば、信号で言うと、信号の下に矢印がついた信号なんかがあるんですけどあれがよくわからなかったりします。特に夕方の時間とか、走る方向によっては眩しいのによく見えないで地獄です。サングラスかけてもそんな感じです。

そうすると何が起こるかというと、知らない場所を運転できないんですよ。

知ってる場所なら記憶で、どこに踏切が有って、どこで人に注意しないといけないかなどが経験的に分かります。だけど、知らない土地ではどっちの向きだと逆光になるかとか、どの信号が自分は見えづらいかがわからない。夜だと道路に引いてある白線が見えないので本気で危ない。

だから、私は運転はできますけど、運転できるルートと時間帯はものすごく限られてます。仕事のことを考えると行きたいところは山ほどありますよ。しかし実際危険ですから知ってるところ以外は運転しないようにしています。
(レーシック難民の方には両眼視機能不全とかで運転するとすごいめまいと吐き気がして、もはや運転が不可能な方もたくさんいらっしゃいます。使用するはずだった車を泣く泣く手放した方もいますよ。運転できる私は幸せな方です)

私が納得いかないのは。私が手術受けた頃のレーシック手術の医学書を読んでみると、かなりの医学書で「レーシックは矯正量が多いとコントラスト感度が低下するので強度近視には向かない」と書いてあるんですよ。

例えば慶応大学の坪田一男教授の編集した「LASIKの実際 その最先端のノウハウ(診断と治療社)」では以下のようにあります。

LASIKの実際―その最先端技術のノウハウ (カラーアトラス)

LASIKの実際―その最先端技術のノウハウ (カラーアトラス)

逆に、−10D~-12Dを超える強度近視では、たとえLASIKで目標とする度数の矯正ができたとしても、術後に夜間視力の低下、ハレーションなどが発生し、全体としてのし機能が低下することが知られている。
坪田一男編集「LASIKの実際 その最先端のノウハウ(診断と治療社)」P32-33

にも関わらずこの本ではこう続きます。

これらのことを考え合わせ、南青山アイクリニックでは現在ー12DをLASIKの上限としている。
坪田一男編集「LASIKの実際 その最先端のノウハウ(診断と治療社)」P33

被害に遭った者の気持ちとしては、「10D以上の矯正でコントラスト感度の低下がわかってるのならそれ以上はやめときゃいいのに」ですが、なぜこんなことになっているのか理解不能です。

ちなみに日本眼科学会のガイドラインによれば、レーシックの上限は-6D、最高でも-10Dまでです。

この文献を読む限り、南青山アイクリニックの基準はガイドラインを違反しています。南青山アイクリニックでは希望者にどのようなインフォームドコンセントをしていたのかが大変興味深いです。

ちなみにこの本は第18章「レーシックのビジネス的側面」にある以下の文章からレーシックの被害者の間でとても有名になった本でもあります。

医師がお金儲けを考えることは不浄なことだと考える人たちも多くいると思われるが、みなさんがこれからLASIKを始めようと考えているのであれば、まず最初に学ばなければいけないことはLASIKはビジネスだという認識である。
坪田一男編集「LASIKの実際 その最先端のノウハウ(診断と治療社)」P126

また2009年に発表された元品川近視クリニックの医師陣である富田実医師と青山勝医師、中村伸夫医師、水流忠彦医師の共同の論文があるので引用します。

「片眼にIntra-LASIK,他眼に有水晶体眼内レンズ挿入術を行った一例」

コントラスト感度は術前に比べて(有水晶体眼内レンズを入れた)右眼は有意な変化がなかったが、左眼は有意に低下した。術後3ヶ月での収差は両眼で増加していたが、Phakic-IOL眼に比べてLASIK術後眼のほうが収差の増加率は大きかった。…

臨眼 63巻12号P1806

この患者が手術を受けたのは2007年の1月ということですから、この時点では既に「強度近視に対するレーシックによるコントラスト感度低下」は品川近視クリニック内では共有されていたということです。

ちなみに、同じく集団提訴の対象である錦糸眼科でも、このようなガイドライン違反が多く行われていました。
詳細は錦糸の院長矢作医師が毎年のように出していたガイドブックに記されています。

近視レーザー手術ガイドブック〈2011年版〉

近視レーザー手術ガイドブック〈2011年版〉


要するに、我ら強度近視の被害者たちは、事前に強度近視に対するレーシックのデメリットが施術する側にも十二分に認識されていたのにもかかわらず、その説明なく手術されたということです。

それと、もうひとつ納得の行かない点があります。
それは、このガイドラインに違反して手術を行った医者のほとんどが眼科専門医であったという点です。

当たり前ですが、レーシックは目の手術ということなので、被害者は健康な生活を守るべく、信頼できる医者のもとで手術を受けようと考えていました。そしてそのように日本眼科学会からもコメントが出ていました。

その結果殆どの医者が眼科専門医のもとで手術を受けることになりました。

しかし、蓋を開けてみるとガイドライン違反をしたい者の殆どは、眼科専門医であったのです。

今手元にレーシックの手術が一番多かった時代の美容系大手クリニックのパンフレットがあるのですが、出ている医者は全て眼科専門医です。